おかざき じゅん岡崎 淳
営業部 マネージャー/2020年入社
広告代理店を経てニューヨークに渡り、FIT(Fashion Institute of Technology)でファッションビジネスを学ぶ。糸のスペシャリストによる少数精鋭集団の強みを生かし、大企業にはできない挑戦を積み重ねながら、丸安毛糸の100年企業への道を切り拓く。
丸安毛糸のあるがまま

本投稿は note.com にて 2026年3月6日全4回に渡って連載されたものをまとめた記事になります。
2025年、丸安毛糸は創業70周年を迎え、京都にて記念式典を開催しました。
テーマは「もてなす」。
これまでお世話になってきた方々への感謝、そしてこれから丸安毛糸が目指していく姿をお伝えするために、社員ひとりひとりが考え、動き、つくり上げた式典です。
この記事では、その舞台裏や当日の様子について、岡崎社長と社員のみなさんの声を通して振り返ります。

左から松井裕作、岡崎淳、大久保千聖、岡崎彩月、八木由紀子、岡崎博之社長

おかざき じゅん岡崎 淳
営業部 マネージャー/2020年入社
広告代理店を経てニューヨークに渡り、FIT(Fashion Institute of Technology)でファッションビジネスを学ぶ。糸のスペシャリストによる少数精鋭集団の強みを生かし、大企業にはできない挑戦を積み重ねながら、丸安毛糸の100年企業への道を切り拓く。

まつい ゆうさく松井 裕作
営業部 ゼネラルマネージャー/2007年入社
様々なデザイナーとともにオリジナルの糸やテキスタイルを開発し、常に新しいクリエーションに挑み続ける。ものづくりへの熱いパッションとアーティストへの深いリスペクトを胸に、丸安毛糸の糸が世界の舞台で輝く瞬間を追い求める。携わった服が世界的により高い評価を得ることが、何よりの目標。

おおくぼ ちせ大久保 千聖
素材部 企画部門/2006年入社
子どもの頃からの編み物好きが高じて、ニットの楽しさと知識を広める活動に携わる。手芸糸ブランド「60ろくまる」の立ち上げやメディア「ニットラボ」の運営を手掛けながら、妥協しないものづくりの姿勢で、丸安毛糸ならではの糸の魅力を世の中へ届け続ける。

やぎ ゆきこ八木 由紀子
企画部 Dipリーダー/2017年入社
大学でファッションの基礎を学び、織物工場でのテキスタイル企画デザイン職を経て丸安毛糸へ。和紙を使った糸など、素材の可能性を広げる新商品の企画に情熱を注ぐ。ファッションとものづくりへの深い愛情を原動力に、印刷物からビジュアルまで、丸安毛糸の「顔」を丁寧に作り上げる。

おかざき さつき岡崎 彩月
広報担当/2024年入社
IT企業での広告営業・広報・ソーシャルメディア運営などマーケティング領域での経験を生かし、丸安毛糸のブランド「MONTELUCE」の魅力を発信する。職人やアーティストの思いを丁寧に言葉へ変え、丸安毛糸の今とこれからを広く伝えることをミッションとする。
――70周年おめでとうございます。まずは、70周年式典を開催することになった経緯を教えてください。
社長:
70年というのは、僕の中では節目だと思っていて。
2003年で社長に就任して、そこから22年。
僕も60歳を超えて、事業の承継も整いつつあるし、
あと30年で100年というこのタイミングで、しっかり式典や展示会を開催しようと決めていたの。
淳:
開催するにあたって、ずっと前から「100年企業」というキーワードがありまして。
100年を目指すにあたって、じゃあこれまでの70年を経て、今後30年にわたる会社のあり方みたいなところを、方向性として示せるような展示会をやりたいね、という話になったのです。
パーティはもちろんやるのですが、展示会をしっかりやりたい、と。

社長:
ぼくは「未来に向けた展示会にしたい」とだけ伝えたの。
過去のアーカイブを提示するだけではなく、これからの丸安毛糸がどういうものを目指していくのかを示すような展示会にしたいって。
淳:
そこで、社員のみんなからアイディアを募りました。
その中から、デザイナーさんとうちのクリエーションで何かしら競作したものを展示しよう、という運びになりました。
――そのときには、もう今回の「もてなす」というテーマは決まっていたのですか?
社長:
その頃にはもうコンセプトは固まっていたね。
松井:
今回の「もてなす」には二つの意味がありまして。
ひとつが、いわゆる「70周年パーティー」のような祝宴の意味合いでのおもてなし。
今回来てくださるお客様は、仕入先の方がほとんどで、今までこの会社が70年やってこれたのも、ひとえに皆さまの協力があったおかげです、という、もうシンプルに感謝の気持ちのおもてなしです。
もちろん、これからの丸安毛糸を示す会でもあるから、今後一緒に仕事をしたい方々もお呼びしました。

松井:
もうひとつの理由は、私があるセミナーを受講したのがきっかけなんです。
一條和生先生という社会学者の方のお話を聞いたのですが。
一條和生
一橋大学名誉教授。IMD(スイス、ローザンヌ)教授。
専攻は、組織論、リーダーシップ、企業変革論。
日本ならびに海外の一流企業のリーダーシップ育成プロジェクト、コンサルティングに深く関わる。
松井:
来日する外国人が増えている中で、日本の「おもてなし」、英語でいうホスピタリティが、世界的に見ても非常にレベルが高い、という話がありました。
我々が今後、世界で戦って生き抜いていくためには、世界で認められているおもてなしの精神を、日本人はもっと大切にしたほうがいい、という内容だったのです。
社長:
日常のさりげないサービスや気遣いみたいな、我々が普通にやっていることは、世界的に見たら当たり前じゃないんだなっていう気づきから、改めておもてなしの重要性を感じたんだよね。
松井:
普段からお客さまに対して、おもてなしの精神や礼儀を会社の文化として大事にしてきましたが、改めて、こうやってテーマ設計することによって、今後私たちの会社として大切にしていきたいことはおもてなしなんだ、ということを示したかったんです。

社長の「未来に向けた展示会にしたい」という言葉がテーマのきっかけ
――パーティーと展示会、両方とも「もてなす」をテーマにしたんですか?
松井:
そうです。
パーティーは、我々が普段から知っているおもてなしの理解で演出することができたんですけれども、
展示会ではどのように提示したらいいのか、そこにもっとアイディアが必要でした。
社長:
そこで、「おもてなし」を「もてなす」に変えたんだよね。
松井:
「おもてなし」の意味をもう少し深く突き詰めたなかで、「もてなす」というひらがな4文字が出てきたんです。
この「もてなす」には、正式な漢字の表記がないそうです。
そこに面白さを感じまして。
デザイナーさんそれぞれに、「もてなす」を使ってコンセプトや狙いを込めていただいて、文字遊びのような感じで作品に色を添えられるのではないかな、と考えました。
――デザイナーの皆さんの取り組みはまた後ほどお聞きしますね。
京都で開催したのは、コンセプトである「もてなす」が関係しているのですか?
社長:
もちろんそれもあるんだけれども。
僕は毎年、イタリアのフィレンツェで開催される糸の国際展示会「PITTI FILATI」に参加しているでしょ。
そこで、糸メーカーの30周年に招かれたことがあるんだけれども。
会場がなんと、世界遺産のピッティ宮殿だったんだよね。
ニット製品が、歴史的な展示物と並んでいる光景が本当に美しくて。
いつか日本でも、こんな展示会とパーティーを、歴史的でちょっと意外な場所で開催したいなあ、とずっと思ってたの。
――それが今回の70周年でついに実現したと。
社長:
そう!
最初はもちろん、みんなに言われたよ。
「丸安さん、京都にゆかりがあるの?!」って。
いや、ないよ、全然(笑)
――京都で開催すると聞いたみなさまの感想は?
松井:
いやもう。
あ…
京都なんだ…っていう(笑)
本当にびっくりしました。
淳:
僕も不思議に思いましたね。
会社の今までの歴史に京都は出てこなかったので。
「なんで京都?」って。
でも、テーマが「もてなす」になったので、日本のもてなし文化の原点となると京都なんだろうな、と納得しました。

松井さんと岡崎さんが今回の式典の大きな「柱」です
社長:
海外との取引も増えてきたから、もし海外からもお客様に来ていただくとしたら、京都がいいんじゃないか、とも思ったんだよね。
松井:
京都って文化の発祥地ですよね。
ものづくりの起源も、やっぱり東京より京都のほうが色濃くあると感じました。
70年に及ぶ丸安毛糸の文化を大切にしつつ、さらに新しい可能性を模索していく中で、京都で開催できてよかったと今では思います。
最初はびっくりしましたが(笑)
――突然の京都開催となって、準備は大変だったのではないですか?
大久保:
そうなんですよ!
何もわからないままに下見にいったのが、私と八木さんです!
八木:
急に京都と聞いて、え?京都?!って(笑)
ちょうど開催の1年前でした。

八木さん(左)/大久保さん(右)
社長:
会場だけは、僕が事前にもう決めていたのよ。
暑い夏に京都中を歩き回って、出会ったのが「美濃吉本店 竹芝楼」という京懐石の老舗料亭。
先程も話したように、イタリアのピッティ宮殿で開催された展示会を見てからずっと、歴史的でちょっと意外な場所で開催したい、と思っていたから。
まさに竹芝楼は、僕の理想にぴったりだった。
でもそれしか決まっていなかったから、そこからが大変だったんだけどね。

社長の理想にぴったりだった「美濃吉本店 竹芝楼」

その名の通り竹が美しい数寄屋造りの本館
大久保:
会場だけは決まっていましたが、他のことは全く決まっていなかったんですよね。
パーティーと展示会を開くといっても、どこで何をするのか、どうレイアウトするのか、全体スケジュールは?とか。
もうすべてゼロからのスタートでした。
八木:
下見に行って、まずは展示会をどこの部屋でやるか、と、シャンパン会場を決めました。
――シャンパン会場?
社長:
まあ、つまりはウエルカムシャンパンね。
展示会を見た後に、ちょっとお酒飲んでいただいて、寛いでもらう場所が欲しくて。
1階で展示をしっかり見ていただき、2階でウエルカムシャンパン。
そして、そのままパーティーの本会場へ行けるように考えたの。

こだわりのシャンパン会場!
――それはまさに「もてなす」の精神ですね。
大久保:
お客様の動線と、会場の広さ、雰囲気、展示のしやすさ、などをいろいろ考慮して、会場の割り振りを考えました。
社長:
由緒ある立派な料亭だから、傷つけないようにすごく神経を使ったよ。
調度品も素晴らしいし、パーティーをやった本会場では、棟方志功の絵とかあったからね。
準備も片付けも本当に大変だったけど、この料亭の持つ本物のパワーをすごく感じた。

会場入り口も、隅々まで「もてなす」の想いが感じられます



岡崎社長と淳さんは着物でお出迎え
――それでは、いろいろなデザイナーさんたちと組んだ展示会についてお聞かせください。
まず、デザイナーの方々にはどのようにお願いしたのですか?
松井:
「もてなす」というテーマだけお伝えして、どんなものを表現していただくかは、すべてお任せしました。
丸安毛糸の70年の歴史の中で、糸作りのノウハウというのは、セーターだけではなく、もっと垣根を越えていろいろなものづくりとして蓄積されているんです。
それがデザイナーの作品作りにおいて、たくさん貢献できる部分があると考えたので、自由に作っていただきました。

引用:PRTIMES
参加デザイナー/アーティスト
右上から、サトウエミコ、洪宇辰、ジョウ・ユィイン、寺田典夫、中村 暖、浅川喜一朗

松井:
台湾出身のジョウ・ユィインさんは、70周年プロジェクトを進める中で本当にたまたまご縁を持つことができて、オファーしたらOKいただきました。
――まったくの初対面だったんですか?
松井:
そうなんです。
すごく貴重な出会いとなりました。
新しいパートナーシップを模索するなかで、セーターではないところからのものづくりのルーツで、しかも今までは縁もゆかりもない台湾のデザイナーさんに興味関心を持ってもらって、一緒にコラボできる。
これこそ70周年記念式典の狙いそのもので、我々が望んでいたことがまさに形になっていくという興奮がありましたね。
淳:
このジョウ・ユィインさんとは、その後、セーターとしてのコラボも実現して、本当にいいご縁をいただきました。

ジョウ・ユィイン/洪宇辰「最手成す」
松井:
それぞれの「もてなす」にいろいろな意味合いが込められているのですが、
洪宇辰さんとジョウ・ユィインさんのテーマ「最手成す」の「最手」は「ほて」とも読むのだそうです。
――ほて?
松井:
そう。ほて。
「ほて」は、かつて横綱を示す言葉だったそうです。
素材の糸で最高級の折り方をして、それを最高のデザイナーが料理するという、すべてが横綱級のものづくりだという意味合いがあるんです。

展示会は松井さんを中心に企画されました


サトウエミコ「百て成す」

寺田典夫「糸て彩す」

中村暖「もて成す」

丸安毛糸の初期の糸見本帳と、そこから作成したブローチ

浅川喜一朗「摸てなす」
――ひらがな4文字の「もてなす」から、さまざまなインスピレーションが生まれたのは、狙い通りでしたね。
社長:
みんなが面白がって取り組んでくれたのが、結果的に、これからの丸安毛糸の目指す未来を示してくれたと思うね。
松井:
実は今回は、完成した作品ではなく、まだ作成途中のものもあったんです。
――どういうことですか?
松井:
デザイナーの今の頭の中を、そのまま展示で表現しちゃおうと思いまして。
映画なんかのメイキング映像だと、公開した後に見せるものじゃないですか。
今回はそうじゃなくて、まだ完成していないもののバックストーリーを提示して、
作品の完成形は、この後に「ある場所」で発表になります、
実はそれがパリコレです、と。
社長:
パリコレで発表する作品の原点が、我々のこの展示会、ということなんだよね。
今は途中経過であって、パリコレで初めて完成するという。
松井:
我々はあくまで裏方的存在だと思うんですよね。
今回展示したものも、さらにデザイナーさんたちが手を加えていくことによって完成し、多くの方々の目に触れるようになる。
しかもそれが、パリコレという最高の舞台。
でも、その原点は、丸安毛糸の周年展示会だったんだよ、というのが、すごくうちらしくていんじゃないかな、と思っています。
――それでは展示会の当日の様子を教えてください。
松井:
僕はずっと大声でしゃべっていました。
――え?
松井:
デザイナーさんたちの作品を生かすために、展示の説明文などはごくミニマムにしたんです。
だから、さらっと見られちゃうと、なかなか伝わらないんですよ。
最初は、展示会の入り口でお客様を出迎えるだけのつもりだったんですが、あ、これはちゃんと直接、言葉で説明したほうがいいな、と思いまして。
社長:
すっごい人数だったんだけどね。
もうお客様全員、松井の方を向いて真剣に話を聞いてくれていた。
松井:
展示会は15時スタートだったんですけれど、15:10の回、次は15:30の回、という感じで皆さんを集めてまとめてしゃべって。
終わると拍手をいただいて(笑)
今聞き逃した方は、もう1回この後に説明しますよー!みたいな。
そういうのを、ずっと繰り返していました。

着物姿で熱く解説をする松井さん

展示会は大盛況


松井:
作品の放つエネルギーはすごいんですけれども、展示会はたった2時間しかないので、やはりここは、実際に見ていただいている時間を大事にしたいと思って、急遽、このような形でやらせていただきました。
社長:
たった2時間の展示会なんだけど、すっごくお金かかってるのよ(笑)
本当は東京で1週間くらいやらないともったいないだろ、というレベルの展示だったので。
(岡崎)彩月:
私はプレスの担当だったんですけれども、展示会の1時間前がプレスの取材だったんですよね。
取材でも、松井さんにメインでお話していたんですけれども、ほら、こんな風に熱いじゃないですか。
もう話が止まらない止まらない(笑)

淳:
で、あまりに終わらないから、後ろでちょっと圧をかけたりして(笑)
早く終われ!て。
大久保:
もう展示会の始まる時間なのに、あれ?松井さんいません!どこ?って。
そしたらまだプレス対応をしているというので、びっくりしました!

松井さんの熱い思いが、一面にカラーで掲載された繊研新聞
淳:
で、展示会が始まったら、今度はお客様にずっと熱く説明しているという。
社長:
とにかく熱い男なんだよ。松井は(笑)
大久保:
私はスケジュール担当だったので、ずっとドキドキしていましたよ。

熱い男!松井さん
――パーティーの方はいかがでしたか?
社長:
料理がすごかったのよ。さすが竹芝楼!という感じで。
コース料理なんだけど、最高の状態で、最高のタイミングで出てくるの。
あそこまでの料理を出せる料亭は、なかなかないと思うよ。
まあ、こういう場所でパーティーやる会社もなかなかないだろうけどね。
請求書見たら、「やっぱり高いなあ」と思ったけど(笑)

社長のご挨拶でスタート


淳さんは最後に締めのご挨拶
松井:
皆さん、お食事ももちろん楽しんでいただきましたが、ゆっくり座って楽しむというよりも、あちこちで挨拶して名刺交換して乾杯して、という輪ができていて、すごく楽しそうだったんです。
それがすごくいいなあ、と思って見ていました。

美味しいお食事の合間に名刺交換



松井さんは忙しい合間に、舞妓さんたちとパチリ

会場の廊下には特別なコーナーを作り、参加デザイナーへの目録も張り出しました

――その頃、スタッフのみなさんはどんな動きだったのですか?
彩月:
パーティーがスタートしたら、もう展示会の片付けと撤収が始まるんですよ。
乾杯!ってやったあとに、もう私たちみんな「撤収!撤収!」という感じでした。
そうしないと間に合わないので。
社長:
人数の関係で、社員みんなが一次会のパーティーに参加することができなかったんだよね。
その時間で展示会場の撤収をしなければならなかったので、 裏方にまわってもらいました。
会場には、僕と淳と松井くんだけで。
ほかのみんなは、もう撤収。
これはほんとに、申し訳ない気持ちでした。

パーティーの冒頭だけ、社員一同でご挨拶
大久保:
撤収の時にちょっとした事件がありまして(笑)
大きな絵を運び出すときに、沓澤さんを中心にやっていたんですが、一緒に運んでくれる人が、ちょっと酔っぱらっちゃってる織田さんと中谷さんしかいなくて。
全然頼りにならず、もう沓澤さん、めちゃくちゃ大変だったらしいです。
八木:
その時に、たまたま沓澤さんに用事があってインカム入れたら、まじで切れてて。
「知りません!今は無理です!」って(笑)
どうしたんだろう??と思っていたら、そんな状況だったと。
社長:
織田と中谷は、シャンパン会場担当だったんだよ。
お客さま来るたびに乾杯してて、お付き合いもあるから、飲み過ぎちゃったんだろうね。
ずっと気も遣っていただろうし。
まあ、許してあげて(笑)

女性3人は撤収も頑張りました!
彩月:
あと、クロークもバタバタしていて。
八木:
そうそう、クローク大変でした!
クロークのスタッフも、すべて社員だけで担当したので。
大久保:
当日、動線を変えたんですよね。
当初は、「受付してクローク」だったのを、「クロークから受付」に変更したんです。
お客様がよりスムーズに移動できるように。
でも先にクロークだと、どなたが来たかわからないので、みんなでこっそりとインカムで「〇〇さん来ました!」「あの方は△△さん?」「え?どなた?」みたいに連絡取り合っていました。

受付もクロークも大変でしたが、そんなことは感じさせないおもてなしの笑顔

彩月:
クロークは、帰りもすごく大変で。
入り口に近いところからお帰りになるだろうから、じゃあこの方々のお荷物を先に準備して…とシュミレーションまでしていたんですよ。
ところが、みなさんかなり酔っぱらっていらして、もう自由でバラバラ(笑)
シュミレーションはすっかり無駄になりました。
忘れ物も多々ありまして、携帯がない!とか。
わちゃわちゃでした。
社長:
なにごとも、予定通りにはいかないもんだよね。
まあこれも、「もてなす」の精神ということで。

このパンとお茶は、社長からスタッフの皆さんへの「おもてなし」です
――「もてなす」といえば、会場で配られたお土産も、おもてなしの精神にあふれたものだったんですよね?
大久保:
はい。お土産は私が担当しました。
どこで何を作るか、というところからスタートしたのですが、京都ならではのものを、ということで、扇子と和菓子にしました。
うちの販売している糸で 大ヒットしていて、参加したお客様が誰もが知っている「アロンジェ」で編み地を作って、それを扇子にしていただいたんです。
4色作って、ランダムでお渡しするようにしました。

丸安毛糸の糸「アロンジェ」で扇子を企画した大久保さん(右)

編地から作った扇子はこの4色

「MARUYASU 70th 」の文字入り
大久保:
300年以上続く京扇子「白竹堂」さんも、ニットの編み地で扇子を作るのは初めて、ということでした。
まずはサンプルを作って、いろいろ精査していただいて、じゃあこの編地だったらいけるね、というところまでたどり着くのが本当に大変で。
5か月くらい、かかりましたね。
で、サンプルはすごく素晴らしいものが出来あがってきたのですが、300本発注したので、量産体制になるといろいろ問題が生じて…。
特に、扇子の厚みを揃えるのが大変でした。

こだわりの扇子の編地
大久保:
最初のサンプルは、多分ひとつひとつ編地にアイロンをかけて丁寧に作ってくださったんです。
量産の時は、機械にかけて作った感じで、仕上がりが厚すぎて。
これは違う!と。
大変申し訳ないですが、全部、手で仕上げてください、とお頼みしました。
社長:
大久保さんの妥協しないものづくりの姿勢が、本当に素敵な扇子になったと思うよ。
大久保:
扇子って、昔は手紙として使っていたんですよね。
思いを伝える手段というか。
扇子でお客様に感謝の思いを伝える、というのも、今回のテーマにぴったりだな、と思いました。

これが手作業による薄さ!!編地とは思えない透明感です

参列いただいた方々も編地の扇子にびっくり!

妥協しないものづくりの姿勢がきっと伝わったのだと思います。
――もうひとつのお土産の和菓子も、オリジナルなんですか?
大久保:
はい。京都の「鍵善良房」さんで、菊寿糖(きくじゅとう)というお菓子をオリジナルデザインで作っていただきました。

羊の形の「丸安毛糸オリジナル菊寿糖」
――これはかわいいですね!!
大久保:
ありがとうございます!
上から順に、プレーン、ゴマ、ココアのお味になっています。
丸安毛糸に紐づけたものにしたかったので、毛糸といえば羊さんかな、と思いまして。
社長:
ここにもコンセプトの「もてなす」の気持ちがしっかり入っていて、
ただ「もの」をあげるのではなく、あくまでも丸安毛糸「ならではのもの」にしたかったんだよね。
――招待状もとても凝ったものだった、ということですが。
八木:
招待状は私が担当しました。
あと、扇子とお菓子を入れる袋も、ディレクションさせていただきました。

印刷物はすべて八木さんがディレクションしました
社長:
お客様に渡すものもすべて「もてなす」を意識して、統一感を出したかったんだよね。
八木さんが丁寧に取り組んでくれて本当にいいものになったと思うよ。
――八木さんがディレクションした招待状とお土産の袋について、詳しく教えください。
八木:
招待状も袋も、同じ編地の柄が入っているんですよ。
最初から最後まで、全体に統一感を出すことにこだわりました。

編地の写真

一番大切な「もてなす」想い

編地が印刷された手提げ袋
八木:
この扇子のパッケージの文章は、扇子を企画した大久保さんに書いてもらいました。
作ったご本人の気持ちが一番伝わると思いましたので。

大久保さんの文章と八木さんのディレクションが活きた扇子のパッケージ
【扇子のパッケージの文章】
扇子は想いを伝えるもの
扇子は日本発祥、その起源は「木簡(もっかん)」と呼ばれる、文字を書き伝えるものでした。その後、現在の形へと発展しました。
扇子の形は「末広がり」末永い幸せを願ったり、災いから身を守る魔除けの意味を持っています。

八木さん(左)と大久保さん(右)のコンビネーションはバッチリ!
八木:
招待状もなかなかデータが完成しなくて、ものすごくギリギリの納品になっちゃいました。
全部社員だけでやっていたので、本業もありますし、とにかく準備段階が一番大変でしたね。

色やフォントにも細かくこだわった招待状
彩月:
で、無事に作り終わった、と思って安心していたら…
そのあとに、びっくりする事件がありまして(笑)
大久保:
そうなんですよ!
社長が突然、「二次会の会場を変更したい」と言い出しまして!!
――えー!?
社長:
いやあ、ずっと引っかかっていたんだよ。
最初に決めた会場だと、人数分の料理を必ず注文しないといけなくて。
でもパーティーの後だから、きっとそんなに食べないよなあ、と思って。
フードロスがすごくいやだったの。
それで、うーん、とずっと考えていてんだけど。
大久保:
もうスタッフの配置も決めて、動きもすべてシュミレーション済みだったんですけどね。
社長:
それもわかってはいたんだけど。
やっぱり嫌だ、変えて、って(笑)
八木:
そこからがまた大変でした。
招待状は、ギリギリ間に合ったんです!本当にギリギリでしたが。
でも、その前にすでにメールでも案内を送っていたので、またメールも全員分を送りなおして…。
彩月:
それが、開催1か月前(笑)

社長が直前に変更した二次会の会場「KOTOWA京都八坂」

八坂神社のすぐ近く。古都の伝統とモダンな感性がミックスされた空間。
――準備が大変だった分、二次会は盛り上がったんじゃないですか?
社長:
フードロスを心配していたのに、みんな、すごい食べてすごい飲んでた(笑)
社員のみんなは、パーティーに参加せずにすぐに撤収準備だったから、何も食べていなかったんだよね。
彩月:
もうみんな、ビュッフェが始まっていないのに、料理が並んだらすぐに食べる!みたいな。
八木:
パーティーに参加していた方々はすっかり酔っていて、乾杯するシャンパンを先に3杯も飲んじゃった人もいて、乾杯のご発声をいただく方のシャンパンが足りなくなったり(笑)
――松井さんと淳さんのお話を聞いていると、展示会はすごくクールな雰囲気だったと思うんですが、二次会はもう全然違ったと。
大久保:
私、二次会の受付担当だったんですけれども、すっごく楽しかったです。
でもやっと落ち着いて、さあ食べよう!と思ったら、食べ物が全然なかったです(笑)
彩月:
すごい勢いで、食べ物もお酒もなくなっていきましたね。
もうみんな、ただの陽気な酔っ払い。
踊っている人とかいましたし(笑)
私たち社員もお客様も、本当に楽しい時間でした。

二次会は社員勢ぞろい!



受付も最後まで頑張りました!
――では最後に、今回の70周年の感想を聞かせてください。
松井:
やってよかったなあ、と本当に思いました。
そもそもは、社長の「やりたい」という気持ちから始まったわけですが、社長がやりたいと言ったからには、なんとしても成功させたい、というプレッシャーもあったんです。
普段、我々が表参道やイタリアでやっている展示会とは、まったく勝手が違っていて、それをひとつひとつ、スタッフと相談しながら進めていく過程は、すごく大きな財産になったと思いますね。
社長:
ご招待した会社も、社長ではなく、うちの担当さんが来てくれたのよ。
そうすると、すぐにビジネスの話ができるわけ。
直接話しながら、この人と話して面白かったとか、今度は新しい仕事ができそうだな、とか、そこのつながりがすぐにできていって、すごくいい場が作れたな、と思っている。
リアルな現場の人間同士がつながることで、新しいものづくりができるんだよね。
松井:
会場全体を見ていると、我々のものづくりのパートナーがこれだけたくさんいるんだな、と改めて感じて、とても幸せな空間でした。
あと、これだけ準備した展示会がたった2時間で終わってしまうというのも、花火のような一瞬の刹那的なはかなさが、それそれでよかったな、と思っています。

展示会のすべてをディレクションした松井さん
淳:
皆さんの「交差点」になっていた、という気がしましたね。
お客様同士が、本当に久しぶりに会う方もいるわけですよ。
その中で新たな交わりがたくさん生まれていくのを、会場で生で見られて、すごく嬉しかったです。
あと、現場力ってすごいなあ、と。
うちではいろいろなイベントがありますが、そのたびに、ものすごい現場力が発揮されるんですよ。
先輩の動きを見て、後輩も自然に学んでいき、受け継がれていく部分もあって。
これはやはり、丸安毛糸ならではのものだと思っています。

淳さんは伝統を大切にしながら、新しい丸安毛糸の歴史を作っていきます
大久保:
テーマの「もてなす」という部分を体現できたというか。
準備から当日まで、社員全員が本当に臨機応変に率先して動いてくれて、すごいなあ、と思いました。
それもすべて、お客様のために、というおもてなしの気持ちから出てたのを感じ取ることができて、すごく良かったなって。
その分、とても大変だったのに、誰も文句なんて言わない。
社長:
思っても言わない優しい社員たち(笑)

全体の進行担当だった大久保さんはフル回転でした
八木:
このようなイベントに準備から関わるのは初めてでしたので、不安がいっぱいあったのですが、まずは無事に終わってほっとしています。
自分で動く、みんなで作り上げる、というのは、私が入社した時から根付いてるんですよね。
会社の風土のようなものになっているんだと思います。
社長:
僕が最初に「会社のみんなでやりたい」と言ったんだよね。
外部に頼んでしまえば簡単だけれども、そうではなく、会社の中だけでできるだけやりたい、と。
八木:
松井さんからも、「社長は、自分が企画する周年行事はこれが最後だと思っているから、僕はちゃんとその気持ちを汲み取って、完璧に仕上げたい」と聞いていたんです。
それで最後に、社長の挨拶を聞いている時の松井さんの感極まったような様子を見て、ぐっときちゃいました。

すべての印刷物を担当した八木さん
彩月:
プレス向け資料の件で、松井さんとやりとりをすることがすごく多かったんですけれども、
松井さんのアーティストさんへのリスペクトとか、ものづくりへのこだわりとかを、すごく強く感じました。
皆さんに本当にいいものを見せようとか、職人さんの思いをしっかり伝えようとか、熱いパッションを感じて、とても勉強になりました。
社長:
何度も言うけど、松井は熱い男なんだよ。だから話も長い(笑)
彩月:
プレスとしてはそこは大変でしたが(笑)

プレス担当の彩月さんは、この後産休に入られ、無事にご出産されました
――皆さんのお話を聞いて、社長はいかがですか?
社長:
僕はイメージだけ伝えて、あとはもうみんなに投げただけなんだよ。
それをそれぞれがちゃんと形にしてくれるのは、本当にすごいと思うし、素直に嬉しい。
なんでも自分でやらないと気が済まない社長っているじゃないですか。
僕はそうじゃないから。
みんなを信用しているから、基本的には丸投げ。
それでもちゃんと、僕のイメージしたことと相違ないものを、みんなが動いて、作ってくれるんだよね。
これからの丸安毛糸は、糸を軸として、もっと人と人を繋げて、世界に行ってみたい、ということのスタートになったと思っている。

We are Maruyasu Keito!!
――ありがとうございました。
この後に社員旅行に行かれたそうですが、そのお話はまた次回にお願いします。
社長:
旅行もいろいろあったんだよね。
「八木ちゃんがいない事件」とか(笑)
八木:
きゃー!
やめてください!!
(この回は終わりです。
次回の「社内旅行編」もご期待ください。
最後までお読みいただきありがとうございました)
今回の記事はいかがでしたか。あるがままの私たちを知ってもらえれば幸いです。
丸安毛糸は『世界中のニットを愛する人たちが集う会社』です。私たちは、ニットを愛し、新たな挑戦に立ち向かい、未来を切り拓いていく仲間を募集しています。
会社説明会開催情報や募集要項、エントリー方法など、採用情報ページでご確認ください。