もて成す
丁寧に大切に受け継がれてきた丸安毛糸最古の見本帳
“心と物”を展示する
Behind Story
「もて成す」
今回のエキシビジョンのテーマである「もてなす」のリサーチを始めた瞬間の、見聞書の1行目が、「持て成す、とは「モノを持って成し遂げる」という語源に由来し、「心と物」を用いて相手に喜んでもらうよう対応すること」であった。
これはまさにジュエリーの役割と同じことであると。
丸安毛糸株式会社にある一番古い、歴史のある糸見本をお借りし、特殊製法で何度も四角を型取りし、そのままジュエリー、ブローチに仕立てた。
70年の歴史がこの四隅のシワにあらわれている。丁寧に大切に先代から受け継がれてきている、一番古い毛糸見本帳。
ここに歴史を感じ、ジュエリーとして織りなす事でまたそのジュエリー傷が付き磨かれていくだろう。そんなシワや傷に美しさを見出し、仕立てる。
会社の歴史をジュエリーとして、敬意を胸につける事ができるブローチにした、この「心と物」を展示することが私にとって【もてなす】の解釈への返信である。

Artist Interview
今回、作品制作に参画頂いた理由と、丸安毛糸との関係を教えて下さい。
今回、岡崎淳さんからお話しをいただいた際に、他のアーティストさんが繊維関係やアパレルブランド様だったことに対して、ジュエリーで70周年のエキシビジョン作品が作れないかというご依頼のセンスに感銘を受け、参加させていただきました。
製作いただいた作品を改めてご紹介いただけますでしょうか。
今回制作させていただいたのは、丸安毛糸に残る最古の見本帳のテクスチャーをシルバーのブローチ作品として表現させていただいています。
製作いただいた作品のポイントや技法、こだわった点を教えて下さい。
70年間もこんなに綺麗に糸見本が残っているのはそれほど大切にされてきたという事、この時間軸や歴史に対するの敬意が色見本の台紙の四隅のシワに現れていたので、そのまま3Dスキャンニングや粘土のような型取り用の特殊な材料を駆使し、そのままシワをシルバーブローチとして仕立てさせていただきました。
製作過程において印象深いエピソードがもしあれば教えて下さい。
このお話しをいただい際に、絶対一番最古の物の跡や痕を美しく、仕立てたいと思っておりました。もちろん糸で挑戦しようとしていましたし、「もてなす」を「(歴史を)織り成す」で表現できたらと考えていましたが、最古の糸見本が出てきて、その保管状態の良さに感動し、ここに価値あり。この価値をジュエリーにできたら、というのがインスピレーションの根源です。
今回、作品のテーマは「もてなす」でしたが、日々のアーティスト、デザイン活動においてご自身が「もてなす」を意識している場面やエピソードはありますか?
「もてなす」の意味をリサーチしていたら、「心遣いや歓迎の気持ちを見える形で表現実行する事」と辞典から見つけ、まさにジュエリーの存在であると。自分自身が作り出すジュエリーもシャンデリアも、(社会から個人の人生の一部シーンまでの)時代の代弁者であるとして、その時の時間や気持ちをカタチにできたなら。と制作しています。

中村暖 Product Designer
1995年生まれ。プロダクトデザイナー。
16歳の時に国の代表として世界一周を経験し、制作活動を始める。東京芸術大学大学院デザイン科卒。第一回辻仁成主幹DesignStorys新世代賞 最優秀賞グランプリ受賞。20歳の時には、世界経済フォーラム(ダボス会議)Globai Shapers communityメンバーに選出される。表参道スバイラルやニューヨークのアートギャラリーなど、様々な場所の特異性を活かした展示も行う。
シャンデリアからジュエリー、バッグまで透明を意図した作品制作を行い、素材のリサイクルから廃棄における透明性も意識し、ラグジュアリーの再定義を問う。代表作品は、「Decompose Diamond」-植物から生まれた朽ちていくダイヤモンド-




