70th Special Thanks

代表ご挨拶

代表の岡﨑 博之です。

丸安毛糸は1955年に東京・両国で祖父・三蔵と父・安宏が設立しました。
社名の「丸安(まるやす)」は父の名前「安宏(やすひろ)」の“やす”を取り、
“丸”はお金を表す。言葉“やす”には「安心・安全」への願いが込められています。

当時の東京には大きな糸屋さんが十軒近くあり
堀留町や横山町の大きな問屋さんと深く結びついていました。
新参者の私たちが入り込むことは簡単ではなかったそうです。

そこで祖父と父は考えました。
「同じことをしていては勝てない。自分たちらしいやり方で挑もう」
その答えとして始めたのが今では当たり前になっているカラーブックの見本帳と
染めた糸のストックサービスでした。

それを使い大手ではなく中小の問屋さんを取引先として
必要なときに必要な糸をすぐに届ける――
当時としては画期的な取り組みでした。

さらに大手の糸屋さんがあまり力を入れていなかった、
ほかにはないファンシーな糸とテキスタイルの開発にも挑戦しました。

“誰もやっていないことをやる” “糸で未来をつくる”
これこそが丸安毛糸の原点であり、私たちのDNAとして息づいています。

今でも
“ほかにはない糸とテキスタイルを開発する力”
“きめ細やかなストックサービス”この2つは丸安毛糸の大きな強みとして受け継がれています。

設立から70年。私たちは何度も困難に直面しました。
それでも、私たちの情熱に共感し共に歩んでくださったお客さま、
新しい糸づくりに信頼を寄せ、たゆまず協力してくださった仕入れ先の皆さま、
そして困難にあきらめることなく、楽しみながら研鑽を重ねてきた社員ひとりひとり。

皆さまのおかげで、設立70周年を迎えることができました。
心から感謝いたします。

特別展示に込められた想い

私は長年、イタリア・フィレンツェで開催される
国際ニットの展示会「PITTI FILATI」を訪れてきました。
その中である糸メーカーの30周年パーティーに招かれたことがあります。
会場はなんと、世界遺産のピッティ宮殿でした。

パーティーの前にはその会社の糸を使って世界中の著名なデザイナーが作った
ニット製品が歴史的な展示品と一緒にずらりと並んでいました。
その光景に私はうっとりし心を奪われました。
「なんて美しく、誇らしく、カッコいいんだろう」

小さな存在である「糸」が世界のクリエーションを支え、
人をつなぎ、感動を生み出していました。
その瞬間、胸の奥に強い憧れが芽生えました。

――いつか日本でも、そんな展示会とパーティーを
“歴史的でちょっと意外な場所で開いてみたい“
その思いをずっと心の中で描き続けてきました。

そして70周年の今こそ、
次世代と、次世代の社員が育ち活躍している今こそ、
次のステージへ向けてその思いと夢を形にしようと決意しました。

イタリアで見たその展示はその会社の歴史をたたえる
“過去のアーカイブ“で本当に素晴らしいものでした。
一方で、私は今回は少し違う形にしたい――そう考えました。

私たちがお見せしたかったのは「過去」ではなく「これからの丸安毛糸」です。
糸という素材を通してどんな未来の“美しさ”が生まれるのか。
人と人とのつながりがどんな新しい価値を生み出していくのか。

その“これから”をこの京都から発信したい――
そんな思いで企画しました。

テーマ「もてなす」の解釈

今回の展示会と記念パーティーのテーマは「もてなす」にしました。
これはこれからの丸安毛糸が大切にしていきたい思いを込めています。

“もてなす”は一般的な“おもてなし”とは少し違います。
世界では戦争や対立が続き、心が荒れやすい時代です。
だからこそ日本が大切にしてきた
「和を重んじる心」 「相手を思いやる優しさ」
これから日本がまちがいなく世界の中心になると私は信じています。

“もてなす”は派手なことではありません。
日本人が古くから大切にしてきた精神であり、
丸安毛糸が糸づくりを通して守っていきたい心でもあります。

私たちは糸という“モノ”を作ってきました。
けれどこれから世界に向けて本当に紡いでいきたいのは
「人と人とのつながり」だと思っています。

この「もてなす」の精神を美しく、力強く、カタチにしてくださったのが
国内外で大活躍されている6名の素晴らしいクリエーターの皆さんです。

ご自身の感性と哲学で「もてなす」を解釈し、
糸と心を結ぶ作品を生み出してくださいました。
皆さまの作品はどれもアートを超えて「もてなす」という心の形そのものです。
このご縁、この出会いに心から感謝申し上げます。

私達のこれから

丸安毛糸はこれまでの70年への「感謝」と「新しい始まり」を胸に、
これからの100年へ歩みを進めていきます。
ありがたいことに、創業から続く想いを受け継ぐ“四代目”が育ち、
その志を共に未来へ繋ぐ頼もしい社員たちがいます。
社員みんなと力を合わせこれからの丸安毛糸をさらに輝かせていくこと――
それが私にとって何よりの喜びです。

私たちはニットを愛する人が集う場所でありたい。
世界中のデザイナーにニットをつくる楽しさ、うれしさ、感動を伝えていきたい。

私たちはこれからも挑戦を続け、
糸を通じて世界をワクワクさせ、
世界から一目置かれる会社になりたい――
それがこれからの私たちの大きな夢です。

これからも変わらぬご支援と温かいご期待を
どうぞよろしくお願いいたします。

丸安毛糸株式会社 代表取締役社長
岡崎博之